鍋島元子チェンバロリサイタル『深層の陰と陽』 ~チェンバロに託されたバロック芸術の風景~

OPCD-001 2003年11月発売

古楽研究会自主製作盤
1997年4月4日(金)日本工業倶楽部にてのライヴ録音。鍋島自身による当日用プログラムを元にした詳細ブックレット付。
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F. クープラン 第24オルドルより
「大殿様たち」「心を射る矢」「花飾り」「両棲類、両面性」
A. フォルクレ 「森の精」「ジュピター」
D. スカルラッティ  ソナータ K.508、K.548、K.542、K.543
J. S. バッハ パルティータ 第4番 BWV828
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使用楽器:スコヴロネック1963年作
18世紀フレミッシュ2段鍵盤チェンバロ

—ブックレット文章からの抜粋—
「深層の陰と陽」と題されたチェンバロリサイタルが開催されたのは、今から6年ほど前の1997年。日本における古楽器演奏のパイオニア世代のひとり鍋島元子が、数年ぶりに行なったリサイタルである。プログラムはバロック期のチェンバロ音楽を語る上で欠かせない作曲家たちで構成され、とりわけ彼らの晩年に書かれた曲に焦点を当てたものであった。<中略>先生はその2年後に突然の病で足早に天に召されてしまったのである。この事をどこかで予感されていたのかもしれない。<中略>この演奏会で多くの聴衆が大変な感銘を受け、終演直後の鍋島に称賛の言葉、感想を述べようと長蛇の列が出来、会場は熱気に包まれ続けた。<中略>
この録音は、鍵盤から一番遠く離れた、私たちがよく楽器の「しっぽ」と呼ぶ部分から、少し離れた空間に置かれた花台の中に隠されたマイクによるもの。<中略>花達で音が多少さえぎられてはいるものの、思ったより良い状態の録音が残っていた。
今回はその音源を元にほんの少しだけ手を加えてこのCDを制作。亡くなられて今年で4年目。多くの方からの要望でのCD化であるが、あらためてその躍動的な熱い演奏と文章に触れ、パイオニア鍋島元子の足跡を、自らが1974年に創設した「古楽研究会」制作CDとしてまたひとつ世に出せる事は大変うれしいことである。(古楽研究会代表 加久間朋子)


<CD評>
●朝日新聞2003年11月26日文化総合ページ紹介文
チェンバロの鍋島さん 生前のライブCD自主制作
日本の古楽運動を率いたチェンバロ奏者の草分けで、99年に63歳で亡くなった鍋島元子さんが97年、日本で最後に開いたリサイタルのライブ録音が、CD「深層の陰と陽」=写真=として発売された。鍋島さん自身が創設した「古楽研究会」の自主制作盤だ。
世界的奏者のグスタフ・レオンハルトに学び、その後欧州各地で演奏家、研究家として活躍。日本でも、古楽運動が巻きおこる以前の70年代から企画公演を頻繁に開き、専門的なバロック音楽の解釈を一般に向けて分かりやすく講釈した。チェンバロの名教師としても知られ、鈴木雅明さんや曽根麻矢子さんら多くの演奏家を育てた。
CDの企画・制作を担当した古楽研究会の川合由美子さんは「バロックは単なるいやし系BGMではなく、骨太で波瀾に満ちた音楽家の魂の表現、と演奏が語りかけている」と語る。

●CDジャーナル2003年12月号
97年に行なわれた最後のリサイタルの記録録音テープからのCD。ミスタッチや会場ノイズもまったく気にならないレベルで楽器の素朴な音が堪能できるのは意外なほどだが、これも優れた演奏あってのことで、鍋島が一頭地抜けた存在であった事実の証明である。(田中成和)

●音楽現代2003年12月号
「今月の3枚のCD~バロック以前」紹介文
鍋島元子は我が国のチェンバロ演奏の草分けとして、桐朋学園大学で教鞭をとる他、古楽研究会を設立し、演奏・研究・教育に従事してきたが、99年に惜しまれつつ他界した。これはその死の2年前に行なわれたコンサートのライヴ録音である。ライナーノーツに掲載された自身の解説(当日のプログラム)によれば、選曲および演奏のコンセプトは、名器スコヴロネクのデュルケンに相応しい多様な地域の18世紀の音楽、そしてまた作曲家晩年(それは女史自身のことでもあろう)の心の深層風景に映し出された、古代中国の世界観「陰と陽」を模索するというもの。その演奏は弾き手の内面から湧出する激しいパッションに満ちていると同時に、「積み重なる問いが、長年親しんで十八世紀の作曲家の曲を弾くときの焦点となってきた」と自ら述べているように、知性と感性両面で、内的な欲求に導かれて生涯に渡り休むことなく活発な活動を続けてきた、女史の精神のありようを伝えている。録音は硬くて聴き辛いし、演奏も決して万全とはいえない。しかし、ここに投影された女史の音楽に対する姿勢は感動的ですらあるし、そこには豊饒な世界がひろがっている。【注目盤】(那須田務)

¥ 2,500

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